心臓を養う血管

冠状動脈

冠状動脈

心臓の主体をなすものは心筋という強力な筋組織です。心臓は筋の塊のような器官です。筋が活動するためには当然のことながら多くの栄養と酸素の供給を必要とします。心臓は血液を送り出すポンプですがそのポンプの働きをするにはやはり血液が必要です。心臓は自分が扱っている豊富な動脈血・静脈血から好きなものを自由に取りあげて自分のために使えそうにみえます。しかし実際には多額な札束を扱っている銀行員が自分で自由にできるのはわずかな給料であるように、生命のもとである心臓が自分のためにもらえる酸素と栄養素は冠状動脈という細い専用の血管で供給される動脈血からだけなのです。

心臓を養うために必要な血液量

安静時、左心室には心筋100gあたり1分間に約80mlが流れています。右心室は左心室の約70~80%、左右の心房は約半分の血液量で養われている。したがって心臓自身の活動を維持するためには毎分約250mlの血液を送り出しているからその約5%にあたる。たえず活動する心臓は冠状動脈により自分のために送られてきた動脈血中の酸素の約70%を消費する。このため心筋の組織の中を流れて環状静脈にもどってくる静脈血の酸素濃度は極度に低く、からだのほかの臓器組織からの静脈血に比べて最低です。

心臓は働き者でふだんこのように多くの酸素を使っているだけに酸素欠乏に特に弱い。もし冠状動脈の枝がつまって血液がうまく流れなくなると、その血管の流域の組織が死んでしまう。これが成人病での主要な死の原因として恐れられている心筋梗塞です。

冠循環の経路

心臓から出た大動脈の付け根、大動脈弁のすぐ近くにあるバルサルバ洞というところに左右の冠状動脈口がある。冠状動脈はそこから心室と心房のあいだの心臓の表面近くをその名のとおり、かんむりのようにとりまく。左冠状動脈は大動脈から分かれるとすぐ回旋枝と前下行枝の2本の枝に分かれる。回旋枝は背面にまわって右冠状動脈に近づき、前下行枝は心尖に向けて伸びる。これら主要な3本の動脈は心筋を広く灌流したあと、静脈系を経て右心房にもどる。

冠循環の特徴

心臓の筋肉が収縮して心臓の内圧が高まっているときは、心筋の内側を流れる冠状動脈の部分は圧迫され細くなって血液が流れにくく、心室が拡張し内圧が下がったとき、むしろよく流れる。したがって心拍数がふつうより多くなりすぎたときのように収縮の時間が拡張の時間に比べてずっと長くなると、収縮のため心臓の仕事量が増えて酸素やエネルギー源の需要が増すというのに心筋への血液供給量が減るということがおきます。

冠循環も四肢の動脈と同じように基本的には自律神経で血管の収縮・拡張が支配されているがその支配に対する反応のしかたは四肢の動脈に比べて弱い。したがって外傷などで出血した際、四肢やほかの臓器の動脈はただちに強く収縮して出血量を減らす。このようなときでも冠循環では動脈があまり収縮しないので、その部分から回された血液により血流がかなりよく維持され失血にたえられる。これは脳の循環でもみられる特徴で、緊急の際、生命の根源である心臓と脳を守るための生物のたくみなしくみです。

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